オーストラリア税関ニュース 2009年 
                                                                     
12月16日2009年 輸入貨物のリリース時間が早くなる − 豪税関
  オーストラリア税関・国境警備サービスの最新の貨物のリリース時間調査(TRS)で、輸入貨物のリリースにかかる時間が大幅に改善されたことが分かった。 
  この調査(TRS 2008)では、海上貨物が到着してからリリースするまでに平均14.5時間かかり、2007年の16時間から早くなった。 航空貨物は到着してから4時間45分で、2007年から2時間短縮されたことになる。 
  税関のマイケル・カーモディー税関長は、「2008年にリリース時間が短縮されたことを嬉しく思う。 これは業界の迅速な貨物レポートや申告の努力の賜物である。 今回の結果を見ると、税関と貨物業界とのパートナーシップが、オーストラリアの輸入サプライ・チェーンのさらなる効率化に寄与することを物語っている」と話した。 (Source: Australian Customs and Border Protection Service, 10/12/09 "Customs and Border Protection's second Time Release Study")
12月09日2009年 マージャン牌にヘロインを隠し密輸を図った男を逮捕−豪税関・警察

  シドニー郊外Ashcroft在住の男(30才)が、マージャン牌にヘロインを隠しオーストラリアに密輸入しようとした容疑で、パラマタ地方裁判所に今日出廷する。 
  11月20日ベトナムからシドニー空港に到着したこの男を税関職員が職務質問のために呼び止めた。 税関職員は、この男の手荷物を検査し、マージャン牌とドミノ牌が入った中型の黒いケース4個を発見した。 あまりにもこのマージャン牌の質が悪いため、税関職員がさらに詳しく調べることになった。 マージャン牌にドリルで穴を開け、内容物を調べたところ、ヘロインと確認され、この男を連邦警察に引き渡した。 
  裁判では、この男が5.5キロのヘロイン(市場価格は少なくとも125万ドル)を密輸しようとした罪に問われることになる。 もし有罪となると、最高25年間の懲役か55万ドルの罰金、もしくは両方科せられることになる。 (Source: Australian Customs Service, 21/11/09 "Heroin worth more than $1.25 million concealed in tiles") 

12月02日2009年 鉛の含有量が多い有害な輸入玩具を押収 − 豪税関

  メルボルンで危険なレベルの鉛が含くまれている子供向けの玩具の輸入が、当局との協力で阻止され、押収された。 
  クリスマス商戦を前にして、豪税関とオーストラリア自由競争・消費者委員会(ACCC)が、輸入玩具の貨物をターゲットにして検査をした。 165個のサンプルを抜き取り検査された。 その結果、数千個の玩具が押収された。 偽造のベン10(米国のアニメ)の人形、軽機関銃、ボクシングのグローブ、乗って遊ぶオートバイからは、異常に高い数値の鉛が検出された。 
  オーストラリアの法律では、90mg/kg以上の鉛が含まれている玩具は、輸入や販売が禁止されている。 これらの鉛は子供が飲み込んだり、皮膚を通して体に入ったりして病気になったり、発育不良の原因となる。 
  税関のニール・マン氏は、「合計4,918個の玩具が押収され、廃棄されることになる。 税関はACCCと協力して、オーストラリア社会を守っていく」と語った。 ACCCのピーター・ケル会長代理は、「480箱の偽造のベン10人形が押収された。 ひとつの箱には数個の人形が入っており、それらの鉛の含有量は法律で定められた基準の2倍であった。 この輸入業者は初めてこのベン10人形を輸入し、週末のマーケットやディスカウント・ショップに販売する予定であった。 鉛の含有量が基準どおりで安全なベン10人形は、大手デパートで販売されている」と話した。 (Source; Australian Customs, 27/11/09 "Dangerous children’s toys stopped at border ")

11月25日2009年 検疫検査費用の補助金は継続も、輸出システムを刷新−豪連邦政府

  連邦政府は、オーストラリアの検疫や農業輸出システムの刷新パッケージに同意した。 議会野党は9月に、検疫検査費用の40%の補助金の廃止や輸出システムの刷新を決めた政府案に反対した。 しかし、2ヶ月間におよぶ野党とグリーン党との協議で、連邦政府のトニー・バーク農相は、「検疫検査費用の40%の補助金は廃止せずに今後2年間は継続し、4,000万ドルをかける輸出システムの刷新は進めていく」と発表した。 そして、現在の諸料金を平均66%値上げすることや、新しい料金の導入は2011年から開始することになる。 
  前環境長官であったロジャー・ビール氏がオーストラリアの検疫体制の見直しを検討した報告書(The Beale Review )に基づき、この刷新パッケージ全体で、刷新費用や輸出システムの合理化にともうなう人員削減費用など総額1億2,700万ドルの費用がかかることになる。 (Source: ABC, 24/11/09 "Federal Government backs down on quarantine subsidy cuts")

11月25日2009年 郵便小包で到着した偽造ティファニー宝石を押収 − パース税関

  パースの税関職員は、市場価格1,000万ドル以上の偽造の宝石を押収した。 
  この偽造のティファニーの宝石は、4ヶ月間に8回に渡って郵便小包で中国から送られてきた。 合計ネックレス500個、ブレスレット600個、指輪170個が鉛によって梱包されていた。 ブレンダン・オコナー税関相は、今回の輸入業者はティファニー社から民事訴訟を起されることになると話した。 (Source: ABC, 20/11/09 "Customs seize fake Tiffany jewellery")

09月09日2009年 トカゲを不正に海外に持ち出そうとした邦人を逮捕−豪税関国境警備局
  長期に渡るオーストラリア税関国境警備局(Australian Customs and Border Protection)の捜査で、在来種の爬虫類14匹を不正にオーストラリアから持ち出そうとした34歳の邦人男性がパース空港で逮捕された。 
  この邦人は9月1日にシンガポール行きのフライトにチェックインした後、エックス線による手荷物検査でバッグにこれらの爬虫類が入っているのが発見された。 税関職員がバッグの中を調べたところ、靴下や小さなペットケースに入れられている14匹のマツカサトカゲ(Shingleback Skink)を発見した。 税関国境警備局はこの邦人を、許可なしに在来種の野生生物の輸出を企て、動物を虐待した容疑で逮捕した。 現在このトカゲは、西オーストラリア州環境保全省によって保護され、その内の2匹はRottnest Islandから持ってこられたことが判明した。 Rottnest Islandのマツカサトカゲはここでしか発見されておらず、西オーストラリア州では絶滅危惧種として特に保護されている。 無断で持ち出すと野生生物保護法により、最高1万ドルの罰金となる。 
  逮捕されたこの邦人は釈放が認められず、9月2日にパース地域裁判所に出廷する。 野生生物の輸出や取り扱いは1999年環境・生物多様性保護法(Environment Protection and Biodiversity Conservation Act 1999)で厳しく制限されており、これに違反すると最高11万ドルの罰金か10年間の懲役、またその両方が科せられる。 (Source: Australian Customs Service, Media Release, 02/09/09 "Customs and Border Protection socks it to lizard smuggler ")
08月05日2009年 4.8トンのタバコの密輸入を阻止 − 豪税関

  メルボルンの税関・国境警備の調査官は、オーストラリアに4.8トン以上のタバコを密輸入しようとした容疑で4人を逮捕した。 
  7月24日にレバノンから到着した貨物に申告されていない大量のタバコが見つかり、7月28日に調査官は家宅捜査令状を取り、メルボルン西部のいくつかの家屋を捜査した。 この貨物はメルボルンのコンテナー検査施設でエックス線の検査を受けた際、不審物が発見された。 その後の検査で、プラスチックの管に隠された細かく刻んだタバコ約660キロ、箱に入ったタバコの葉4,185キロが明らかになった。 申告されていないことで、関税と消費税150万ドル以上の支払いを免れようとしていた。 
  今回の密輸によって4人は、対象となる関税や消費税の5倍の金額の罰金が科せられ、10年の懲役となる。 (Source: Customs Media Release, 30/07/09 "Smuggling attempt goes up in smoke")

07月08日2009年 郵便小包による生きたタランチュラとサソリの密輸を阻止−豪税関

  シドニーの国際メールセンターで、検疫検査局の職員が郵便小包の中に生きた2匹のタランチュラと2匹のサソリを発見したことで、 税関の調査員がニューサウスウェールズ州ドゥーンサイド地区の家を家宅捜査した。 
  6月14日に検疫検査局の職員がスウェーデンから到着した郵便小包の中から申告されていない小さな缶4個を発見した。 その中にはオーストラリアも加盟しているワシントン条約のリストに記載されている珍しい種類のタランチュラが入っていた。 後日、検疫検査局の職員、税関職員、ニューサウスウェールズ州野生動物職員がドゥーンサイドにあるこの郵便小包の受取人の家を捜索した結果、いくつかの動物を発見した。 税関職員は21歳の女を野生動物の密輸入を試みた容疑で取り調べている。 
  野生動物の密輸入は、環境保護および生物多様性保全に関する法律(Environmental Protection and. Biodiversity Conservation Act 1999: EPBC Act)により、最高11万ドルの罰金か、10年間の懲役、もしくは両方科せられる。 (Source: Australian Customs, Media Release, 26/06/09 "Mail with a sting in its tail ")

05月20日2009年 連邦政府予算の削減で、貨物検査回数を減らす − 豪税関
  オーストラリア税関・国境警備局(Australian Customs and Border Protection Service)は、来年度の連邦政府の予算が1,900万ドル削減されるために、職員を200人以上解雇し、貨物検査回数も現在の75%くらいに減らすことになった。 経費削減のターゲットとなるのは貨物検査業務で、新しい貨物検査方法は”正確なアプローチ(Refined approach)”と呼ばれ、税関当局はオーストラリアの主要コンテナー港にあるコンテナー検査施設で、高いリスクがある貨物に対して再度焦点を当てることにしている。 この新しい検査方法は、現在のまずランダム検査を実施し、高いリスクの貨物の発送人や受取人、そして発送地を解明すると言う方針を変更し、7月1日から実施される。 
  今回の作業変更は、貨物の流れが延滞することなく、より多くの違法行為が摘発されるとして、長年要請をしていたオーストラリアの輸入業界には歓迎されている。 これにより、航空貨物の検査実施対象が75%削減されて150万件となり、海上貨物のコンテナーも25%(3万2,500個)減って10万1,500個(teu)が検査の対象となる。 (Source: T&L News, 14/05/09 "Customs to cut staff, cargo screening following Budget")
05月13日2009年 海上コンテナーのマットレスの中にタバコを隠して密輸 − 豪税関

  マットレスの中に39万5,000本のタバコを隠して密輸しようとして税関に逮捕されたシドニー在住の男(50才)が今日、シドニー中央裁判所に出廷した。 この男の容疑は、税関法1901の233(1)(a)項の密輸、233(1(d)項の密輸タバコの所持である。 
  今回の捜査は、2009年4月24日に、シドニーのコンテナー検査施設で中国からの海上貨物コンテナーをエックス線検査した時から始まった。 エックス検査の画面で25個のマットレスに異常が判明し、詳しく検査すると、マットレスの中に1,975カートン(39万5,000本)のタバコが見つかった。 .その後5月1日に税関職員がこの男の家を捜査し、この男を逮捕した。 
  税関のNational Manager Investigationsのリチャード・ジャネツコ氏は、「タバコの密輸は重大な犯罪で、社会を騙すことになる。 密輸人が密輸しようとするタバコや葉巻は正式な施設で生産されていない。 衛生基準を満たしておらず、健康への影響を警告する注意書きもなく、社会に大きな危険性を与える」と話した。 この男は保釈を許可され、5月12日に再度裁判所に出廷する。 タバコの密輸に関する罰金は、密輸したタバコの関税の5倍の金額で、また最高10年間の懲役になる。 (Source: Australian Customs, Customs Media Release, 06/05/09 "Man arrested over tobacco smuggling in mattresses")

03月18日2009年 パキスタンから航空貨物によるヘロインの密輸を阻止 − 豪税関

  メルボルン在住の2人の男が共謀して約20キロのヘロインをオーストラリアに密輸しようとした容疑で告訴された。 この2人は今日メルボルン地域裁判所に出廷する。 
  今年3月1日に、パキスタンからの航空貨物がメルボルンに到着した。 税関職員が多くの敷物が入っているこの貨物を調べたところ、敷物のなかに隠されていた白い粉を発見した。 簡易検査でこの白い粉はヘロインと認識された。 これによりこの件は税関からオーストラリア連邦警察 (AFP)に引き継がれた。 3月8日にAFPは多数の捜査を行い、居住地近くで2人を商業目的のヘロイン輸入と所持を企てたとして逮捕した。 これに関する刑罰は、最高終身刑か5万ドルの罰金、もしくは両方科せられる。 (Source: Customs and Border Protection and the Australian Federal Police (AFP), 10/03/09 "Men charged with importing heroin in rugs")

02月11日2009年 オーストラリアの輸入通関にかかる時間は問題ない−豪税関
  オーストラリア税関・国境警備局は、輸入貨物を通関するのに平均、海上貨物で1.3日、航空貨物で0.3日であることを明らかにした。 
  税関局トップのマイケル・カーモディ氏は、「世界税関機構(World Customs Organization)が行なった調査で、アジア・太平洋地域の国々と比べてオーストラリアが優れた結果となった。 輸入通関にかかる時間の調査で、オーストラリアは輸入貨物に関して大きな障害がないことが判明した。 企業間のコミュニケーションの効率化や内陸輸送の手配などが、輸入貨物の配達時間に大きな影響を与えることになる。 今回の調査では、貿易の一層の効率化にも触れており、オーストラリア税関としては業界や関係省庁とともに効率化を図って行きたい」と話した。 (Source: LLDCN, 10/02/09 "“We're no significant impediment to imports”, Customs")
02月11日2009年 タイツの中に生きた2羽のハトを隠し密輸 ー 豪税関
  オーストラリア税関は、メルボルン在住の男(23才)が2羽の生きたハトを足に貼り付けてドバイから密輸しようとしたところを発見した。 税関職員が2月1日にメルボルン空港に到着したこの男の手荷物を検査した際に、この男が着用しているタイツのなかに、両足の足首からビザの辺りに各1羽の生きたハトを隠し持っているのを見つけた。 またこの男の手荷物からは、申告されていない2個の鳥の卵、植物の種、なすびが発見された。 
  この男は豪検疫検査局によって罪に問われることになる。 野生生物の密輸は、最高10年間の懲役、または11万ドルの罰金となり、両方科せられることもある。 (Source: ABC, 03/02/09 "Man charged over pigeon pants")
01月14日2009年 フォークリフトのバッテリーに10キロのコカインを隠し密輸を図る
01月07日2009年 中国・インド製トイレットペーパーにダンピング容疑 − 豪税関

  フェアファックス系各新聞紙は、輸入されトイレットペーパーの価格が通常より40%安く、国内メーカーに打撃を与えているとする税関の報告書をボブ・ディーバス内務相が承諾したと報道している。 中国とインドで生産されたトイレットペーパーは、スーパーの”ウールワース”と”セーフウェイ”のプライベート・ブランドにより広く販売されている。 
  国内メーカーのKimberley-Clark Australia社とSCA Hygiene Australasia社は、2006年5月に”ウールワース”がオーストラリアの輸入業者のPaper Force社と取引を開始してから、トイレットペーパーの店頭価格が20%下がり、不当に国内メーカーに打撃を与えていると非難した。 
  一方”ウールワース”の広報担当者は、税関にPaper Force社との契約の詳細を提供するのを拒否し、「消費者は良い商品を安価で買い求めている。 Paper Force社との契約は2008年8月には切れている」と話した。 
  しかし、オーストラリア税関の調べでは、”ウールワース”のトイレットペーパーの納入業者の1社が、通常価格より33%から38%安くして販売しており、その他の納入業者も5%から10%安くしてダンピングしているとしている。 ”ウールワース”とPaper Force社は今回の調査結果に対して、1ヶ月以内に異議を申し立てることができる。 (Source: Australian/AAP, 02/01/09 "Customs probe flushes cheap imports from toilet paper market")